院長室の環境整備のご依頼が増えています。院長室の整備が厄介なこれだけの理由

最近、院長室のご依頼が増えています。
院長は経営判断に専念すべきなのに、
なぜか探し物に追われてしまうケースも少なからずあるようで心が痛みます。

ここでは院長室の難易度が高い理由と、
それでもなぜ整理しなければならないかについて解説します。
また、改善のための最初の一歩についても触れますので、
ぜひ最後まで読み進めてください。

なぜ院長室の整備は厄介なのか

機密書類が多く、スタッフの手を借りられない

最も悩ましいのは人事労務(人事評価・採用・退職、給与等)、経営、取引先との情報など、
スタッフに見られたくない機密書類や個人情報が大量に集まってくる点です。

これが理由でスタッフに整理を任せることができず、
院長自ら手がけざるを得ないのが一番悩ましいと言えるでしょう。

そもそも文書の種類も量も多くて難易度も高い

院外の方々との付合い、検討中の商品サービスの案内、交流会やセミナーなど
たくさんの書類を受け取るうえに、院内からも要決済・判断の書類が次々に手元に回ってきます。

さらに院長宛の封書、所属学会の定期購読誌・ご案内まで・・・。
ところが開封するタイミングすら確保できず、適切な位置にファイリングする余裕もないため
とりあえず…と適当に置いてしまい、イザというときに探し出せないというお困りが非常に多いです。

そして書類がますます溜まり、探すエリアが広がるという悪循環に陥っています。

整理する時間と気力の確保が難しい

医院経営、診療、学術、本業に加えてプライベート・・・
非常に目まぐるしい院長が避ける時間は相当限られています。

ましてや緊急でもない書類整理こそいつも後回しになってしまうのも
状況的に致し方ないことと思われます。

それでも院長室を整備しなくてはならない理由

院長の時給がいちばん高いため

院長しか判断・指示できないことが多々あり、
一般的にも院長の給与が一番高い傾向にあります。

多方面に時間を割かれる方でもありますから、
経営者はムダを極力減らし、一番生産性を高めなくてはならない人ともいえるでしょう。

情報が速くそろわなければ全ての判断・手続が遅れる

書類=情報ですから、判断に必要な書類(情報)がその場で見つからなければ、
判断に必要な情報を探すところから時間を費やしてしまいます。

その結果、探す時間分、判断そして判断に伴った手続まで遅れてしまう可能性があります。

古い情報では判断を誤る

同じ内容でも新旧両方出てきてどちらが正しいのかわからず困る!
というお声は書類でもデータでも多く寄せられています
(書類とデータ両方で新旧混在することもよくあります)。

また、古い情報を使用すると混乱や損失が生じかねません。
私自身も以前、やむを得ず古い名簿データを使ってDMを発送したら
4分の1程度返送されてきた痛い失敗を経験しています。

人事系の書類や情報が不意にスタッフの目に触れる

人事労務の書類が机の上に無造作に置かれていて、偶然スタッフの目に留まってしまうことがあります。

幹部スタッフの退職届、同僚の人事評価など…
非公表・公表前の情報が従業員に漏れるとトラブルの火種になる可能性もあります。

私も会社員時代に経験しましたが、
幹部職員や部署内キーマンの退職が知れ渡ると他の社員まで浮足立ち、
退職が連鎖的に発生することも起こりえます。

人事労務系の書類こそ慎重に管理しましょう。

院長室改善のための最初の一歩

スタッフ任せにできる書類や郵便物は極力スタッフに委ねよう

他人任せにできる、中身を確認できる書類や郵便物も一定数あると思われます。
見られても支障がない、任せられるものに関しては
スタッフに判断基準と保存場所や対処方法を指示して進めてもらいましょう。
院長でなくては扱えない書類・情報管理に絞って対応できます。

お任せできる書類例

  • 毎月決まった業者から決まったタイミングで届く請求書・お知らせ・学会誌等
  • クリニックに投げ込まれるチラシ
  • 新聞、購読誌 など

詳細はこちらの記事もご覧ください。

歯科医院でどんどん溜まって困りがちな定期購読誌・郵便物の管理のコツ 

はじめに  業務の合間に多くの最新技術・経営ノウハウを学ばれ、複数の学会や地域団体に参加されているドクターの元…

定期・定量管理

近々使う書類、保存する書類(短期・長期)、文房具の置き場所を決めます。
たとえ1日5分だけでも決められた定位置に戻すタイミングが取れれば、
探しまわる時間や労力がグッと減らせます。

日々仕事をしていれば物や書類はどんどん増えていくため、
数か月に1回まとまった時間(2~3時間程度)を確保して、
整理しきれていない書類や備品を整理するタイミングを設けるとよいでしょう。

クリニック内は定期的に選別のタイミングを設けたいところですが、
院長室内だけであれば「ここがいっぱいになったら整理する」という定量管理ルールでも機能します。

書類ボックス内がぎゅうぎゅうになりすぎると取り出しにくくストレスになるため、
そうなる前に実施しましょう。

極力単純なやり方で整理する

院長はとことん忙しいため、普段から書類整理がきちんとできている方以外は
手間のかかる方法は向きません。

分類が細かすぎないですか?
面倒くさくてついファイリングが後回しになっているならば、
穴を空けずに済む、ポケットに差し込む必要がない、投げ込めば済むなど
極力ラクな収納を取り入れましょう。

ポケット型・2つ穴空きタイプのファイリングは、手早く管理したい場合・大量書類の保存には不向きです

時間が確保できないときの退避場所を確保しておく

今すぐに捨てられない、選別できない書類や備品などは、
院長室の、施錠ができるエリアの一角に「とりあえず」コーナー(空きスペース)を設け、着手時間が確保できないときの退避場所を確保しておきます。一時的に置いておく場所を決めておくと万一時に便利です。

ここに置いたものは、着手可能なタイミングですぐに
「とりあえず」コーナーから本来の場所に移動させるようにしましょう。
「とりあえず1」「とりあえず2」「3」・・・と増えてしまうと収集がつかなくなります。

事例:院長室を整えれば、他の用途も兼用できる!

面積が非常に限られる都市部では特に、スペースは大変貴重です。

歯科医院の院長先生方からは
院長室をカウンセリングルームとしても兼用したい!というリクエストを多く頂いてきました。

また、スタッフとの個別面談室にもしたい(機密書類庫には施錠をした上で)といったニーズも高いです。
スタッフに頼みにくいエリアや院内に知られたくない部分こそ
外部サービスを上手に活用しながら整理整頓を進め、時短・労力削減を狙うのもお勧めです。

院長室とカウンセリングルームを兼用した事例①

院長室とカウンセリングルームを兼用した事例②
院長室と来客スペースを兼用した事例

まとめ

院長室は難易度が高く、業務に活用したい書類や情報を自力で整理するには時間や気力も割かれます。

まずはなるべく他人に委ねられるところは委ねるなどして
整理判断する対象を絞り込みましょう。

そのうえで、自身で対応するときにも
無理なくざっくりと続けられる方法か?を確認しながら進めるのがおすすめです。

今日もここまでお読みくださりありがとうございます。