歯科医院ではどんどん増える!悩ましいカルテの管理・対処方法
歯科医院様をはじめ、クリニックでは悩ましいカルテの管理。
法律では5年間を過ぎれば義務はありませんが、実際には永年保存の医院も多く、院内整備でお伺いするとほぼ100%「カルテがどんどん増えて場所ふさぎになり困っています」との声を伺います。
カルテの保存に正解はありませんが、どう判断・対処すればよいか?のアイデアを一般的な書類整理術もからめて紹介していきます。貴院での判断材料となれば幸いです。
(※筆者は医療従事者ではないため、専門の方から見ると正確にいえば表現・内容が違う、といったものもあるかと思います。あらかじめご了承の上でお読みください)
なぜカルテは増える?
今までヒアリングしてきた限りの理解ですが
- 新患が増えれば、その数だけ増える。
- 古い番号の患者様でも、定期メインテナンスに来られる、数年たって突然来院などもあるため、うかつに手放せず カルテ番号ごとに区切って処分するのも難しい
- 電子カルテを導入しても、電子カルテには記載欄がないパーソナルな情報、次回の施術内容・スタッフ間で共有すべき書類はサブカルテなどに手書きで書かれていて増えやすい(医院によっては患者様が1回通院につき1枚増える)。電子カルテにすべて反映できないことも多い 。
- 万一の患者様とのトラブル・医療訴訟などを考慮すると破棄するのはリスク。
といった理由で処分をためらうケースが多く見受けられます。
カルテの対処アイデア
①ペーパーレス化
サブカルテ等も含めてペーパーレス化ができれば最強です。スキャンにはかなりの工数または電子化業者へのコストを割かれ、カルテ管理やタブレット等へのデータ入力など仕組みの大きな変更を伴う、強固なネット環境が必要(システムダウンがないよう備える)など、慣れるまではかなり負荷もあると耳にしています。一方で完全ペーパーレス化できればメリットも非常に多く、物理的に増えない、スペースが空く、印刷・収納・探しに行く手間が省ける、受付業務の効率化・カルテ棚やインクなどの経費削減なども期待できます。
②カルテにも循環ルールを設ける
とはいえペーパーレス化には負担も大きく、導入をためらう医院様も多い様子です。
ビジネスにおける書類整理の方法としては、書類ごとに〇年保存とルールを決め、年末・年度末などで期限切れを押し出して処分という処理の流れをつくる方法が一般的とされます。
ただ、来るかどうか不明の患者さまもいらっしゃるため、カルテは依然悩ましいご様子です。
下記は一般的によくご紹介している循環ルールです。
・長期保存:倉庫(書類保存用の箱に内容物と保存期限を明記)外部倉庫の活用も手
・中期保存:受付から近いキャビネット
・短期保存:受付からすぐ手の取れる場所
カルテ用の場所が確保できていれば、無理に破棄する必要はありません。
③いよいよ場所が埋まってきたら・・・
下記の手段を取られた、アイデアを出された医院さんも見受けられました。
- 一定の年数来院されない患者様のカルテは、倉庫や2階など遠い場所に保存と決める
(例:年齢的に通院が難しそうな患者様、引っ越された可能性大の方、など) - 古い、通院のないカルテ番号〇番~〇番(または過去〇年分)は倉庫の△△の棚または箱に保管、と決める
- タイミングを決め、新患からは完全ペーパーレス化にふみきる
- 必要性が薄い情報(例:数年前に来院された折のメモ?など)を選んで取り除く
↑ コツコツとした作業が要求されましたが、意外にも効果大!の様子でした
もしカルテをペーパーレス化すると決めたなら:おすすめの順番
①期日を明確に決め、新規の患者様からペーパーレス化にふみきる
②倉庫にあずける・探す時間が長そうなものからペーパーレス化、または段階的に破棄
③来院中の患者様
ただ、必要性が低い②をあえて「ペーパーレス化対象外」と決め、仮に古いものが必要になったら探すと割り切るのもコストや時間の最適化を考慮するなら一手です。
一般的な書類の場合は検索性を考慮し、使用頻度が高く、よく探しそうな書類から電子化をお勧めしています。
まとめ
カルテの保存は悩ましい課題ですが、場所さえ確保できていれば永年保管でも問題ありません。ただ、そのまま放置していくと場所を圧迫されますので、予め保存年数・保存場所のルールを決めておかれるとスムーズです。もしペーパーレス化にふみきるなら、すべての電子化にこだわりすぎる必要もありません。貴院でやりやすいよう、柔軟に決めていかれるとよいでしょう。
今日もここまでお読みくださりありがとうございます。